トランスジェンダーを公表されている日本の芸能人・有名人まとめ

トランスジェンダーを公表されている日本の芸能人・有名人まとめ

男女2種類、という性別の枠を超えた「LGBT(セクシュアル・マイノリティ、性的少数者)」という概念をご存知でしょうか?

LGBTは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)それぞれの頭文字で構成された、性的マイノリティを意味するアルファベット単語です。

最近ではLGBTという表現にとどまらず、Q(クエスチョニング=不明、クィア=セクシャルマイノリティの包括的概念)を加えたLGBTQといった表記も見られます。

引用:東京レインボープライド2021

今回はLGBTのなかのT、トランスジェンダーであることを公表されている芸能人の方々をご紹介。男性として生まれながらご自身の性別は女性であると感じ、女性としての生き方を望むMtF(Male to Female)、その逆で女性として生まれ男性としての性別を選んだFtM(Female to Male)の方々がいらっしゃいます。

【1】IVAN(アイヴァン)さん

元パリコレのモデルで、メキシコ人のお母様、スペインと日本人のハーフであるお父様の間に産まれたクォーターであり、現在はタレントとして活動するIVANさん。2013年に出演したテレビ番組「有吉反省会」で、自分がMtFのトランスジェンダーであることをカミングアウトしたそうです。

引用:アイバン オフィシャルブログ「あいばんのオフィシャルぶろぐ」Powered by Ameba

2018年に出演したテレビ番組「良かれと思って!」ではタイで性別適合手術を受けたことを明かしています。

引用:eltha(エルザ)

その後、公式ブログでも自分の言葉で正式に性別適合手術の経緯についての詳細を発表しました。

引用:アイバン オフィシャルブログ「あいばんのオフィシャルぶろぐ」Powered by Ameba

【2】能町みね子さん

「男性であることを隠したままOLとして働いていた」というトランスジェンダー的生活について赤裸々に取り扱ったエッセイ「オカマだけどOLやってます。」を代表作に持つ作家の能町みね子さん。ウェブメディアのインタビューなどでご自身がMtFのトランスジェンダーであることを明かしています。

引用:ハフポスト

ただ、ご自身の性については性同一性障害のような「病気」と診断されるべきではないというスタンスを持っているそう。普段ご自分の性について語る時は「昔は男だった」と説明する程度に留めています。

エッセイ本のリリース当時は、敢えて自分の一番キライな単語である「オカマ」を使い、世間に自分の存在をアピールしました。しかしその後、性別適合手術を受けられ「今の自分はオカマではなくなった(完全に女になった)」と表明。以降のキャリアを積む上ではご自身の性を特別視せず、題材として取り扱うこともほぼなくなったそうです。

【3】上川あやさん

世田谷区議会議員(2021年現在)である上川あやさんは、公式サイトでご自身が性的マイノリティであることを明かしています。

同サイトによると、上川さんは性同一性障害であるという診断を受け、性同一性障害であることを公表した上で区議会議員選挙に立候補し、当選した国内初のトランスジェンダーの方であるそうです。

渋谷区と世田谷区で同時に始まった、日本では初めてとなる同性パートナーシップ制度の創設にも貢献されました。

議員選挙への当選後は、性別変更を可能とする特例法の立法運動(2003年7月成立)や失語症会話パートナー養成事業の創設(2005年9月~)といった性的マイノリティのみならず、社会的に少数派となっている方々の環境改善を目的とした活動を続けていらっしゃいます。

引用:世田谷区議会議員 上川あや

【4】カルーセル麻紀さん

カルーセル麻紀さんは1942年生まれの歌手・俳優で、芸能界トランスジェンダーのパイオニアと呼ばれることもある方です。女性誌で行われた作家・桜木紫乃さんとのインタビューでは、15歳という若さにして家出、ゲイボーイとして接客業に就かれていたというエピソードを明かしています。

引用:婦人公論.jp

その後、モロッコで性別適合手術を受けられ、2004年に施行された「性同一性障害者特例法」によりカルーセル麻紀さんの性別変更が認可。本名を「平原徹男」から「平原麻紀」と改名することとなりました。

引用:婦人公論.jp

【5】GENKINGさん

タレントのGENKING(ゲンキング)さんはトランスジェンダーであることをカミングアウトしています。2015年に出演したテレビ番組「行列のできる法律相談所」では自分がゲイであると話しましたが、2016年の化粧品ブランドSK-Ⅱの特設キャンペーンサイトにインタビュー出演した際、自身がトランスジェンダーであり、本当の性別は男ではなく女であると自覚していることを打ち明けました。

またその後、自身のInstagramアカウントには性同一性障害の診断書の写真を投稿されたそうです。

引用:RBB TODAY

【6】はるな愛さん

松浦亜弥ものまねタレントとして一躍有名になったはるな愛さんは、芸能界デビュー以前の学生時代に自分の性が女だと自認されたそうです。高校中退後、パフォーマンス等をしながらクラブで働き、20歳位までに性別適合手術を受けました。

引用:yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

また「物心ついたときには既に自分が男として生まれたことに違和感を持っていた。誰にも相談できないというジレンマを抱えるなか、高校を休んで好きな人に会いに行ったことが父親にバレた。やむを得ず父親に正直に打ち明けた」というエピソードが初めてのカミングアウトだったと、2019年に行われたウェブメディアのインタビューにて話しています。

引用:新R25

そんなご自分の経験を踏まえ、「自身が幸せになれないのであれば無理にカミングアウトする必要はない」という考えをお持ちになっています。

【7】KABA.ちゃんさん

タレント、ダンサーとして活躍するKABA.ちゃんさんは男性として生まれましたが、現在は戸籍を変更し女性として暮らしています。本名も椛島永次(かばしま えいじ)から改めてご両親に付けてもらった名前「椛島一華(いちか)」に変更。2016年に出演したテレビ番組で話されたそうです。

引用:ORICON NEWS

KABA.ちゃんさんは子供の頃から、成長期を迎えるにあたってご自分の性別に違和感を抱き始めました。自分が男として男に惹かれるゲイなのか、本当の性別が女であり男に惹かれているMtFなのかもわからなかったと言います。その後、ご自身の性別が本当は女性であると理解し、性別適合手術を受けるに至ったそうです。

引用:週刊女性PRIME

【8】中村中さん

シンガーソングライター、役者として活躍中の中村中(なかむら あたる)さんは、2006年にリリースした2ndシングル「友達の詩」の発売時、MtFトランスジェンダーであることを公式サイトでカミングアウトしました。

引用:中村 中 オフィシャルサイト「中屋」

またその後、セクシュアル・マイノリティ支援団体のウェブサイトでのインタビューでは、初めて男性が好きであることを明かしたのは小学校5年生の時で、相手は同級生であったと話しました。

引用:OUT IN JAPAN

【9】西原さつきさん

モデルやタレント、さらには「女の子らしくなりたい」という人を応援する「乙女塾(おとめじゅく)」を創立し、代表講師としても活躍する西原さつきさんは男性として生まれ、女性として生きているトランスジェンダーであることを公表しています。

公式ホームページによると、自身の性別に疑問をいだいたのは幼少期。16歳の頃には既にホルモンの投与を開始したそうです。さらに2013年には、性別適合手術を受けられています。

引用元:satsukipon-official

【10】サリー楓さん

ファッションモデル、建築デザイナーとして活動するサリー楓(かえで)/畑島楓さんは自身のホームページでトランスジェンダーであると表明しています。

引用:KAEDE Official

芸能や建築の業界に携わりながら、トランスジェンダーの当事者としてLGBTQについての講演会に登壇されているそう。ウェブメディアでのインタビューではトランスジェンダーであることを自覚したのは中学生の頃であると明かしました。

大学生の頃、トランスジェンダーの方と実際に話す機会を得るまでは不安がつきまとう日々を送っていらしたそうです。

引用:ハフポスト

【11】SECRET GUYZ(池田タイキ、吉原シュート、諭吉)

最後にご紹介するのは、FtM(女性から男性へなったトランスジェンダー)の方々です。

かつて「SECRET GUYZ」という、トランスジェンダーのメンバーで結成されたダンス&ボーカルユニットがありました。

公式サイトや公式ブログは今では閉鎖されてしまっていますが、2015年にリリースされたSECRET GUYZのシングル「SKY MARCH」ミュージックビデオが、所属企業であるスターダストグループの公式YouTubeチャンネルで配信されています。概要欄のコンセプト紹介によると、SECRET GUYZはFtMという存在をより世間に知ってもらうために結成されたことがわかります。つまり、元女性の3人が男性として活動していたグループでした。

SECRET GUYZ活動当時の音楽ファン向けサイトによるレビューでも、セクシャルマイノリティに希望を与えるグループとして世間から注目、期待されていたことが窺えます。

引用:muevo voice

その後2018年、メンバーのひとり池田タイキさんの喉の不調をきっかけとして解散することとなりました。

引用:音楽ナタリー

池田さんはグループ解散とともに芸能界を引退されましたが、残ったメンバーの吉原シュートさん、諭吉さんはそれぞれタレントや俳優として活動を続けられています。折に触れて、コンビでのトークイベントなども開催中。

引用:STARDUST

引用:吉本興業株式会社

芸能人や有名人の公表によってトランスジェンダーの認知と理解のきっかけに!

生まれた時の性別と、実際に望む性別が異なるトランスジェンダーの芸能人、有名人の方々について見てきました。

トランスジェンダーには、男性の体に生まれながら実際の性別は女性であったMtFの方々や、その逆であるFtMの方々がおり、皆さんそれぞれがご自身の性について悩みを抱えられながら懸命に生きてこられたことがわかりました。さらに、そんな悩みを抱えつつも社会の中で精一杯に自己実現されています。

悩んだ経験をご自身の活動に活かしてセクシャルマイノリティの人々に勇気を与えたり、あえて活かさないで生活することでトランスジェンダーも限りなく普通の性と変わらないものであると世間にアピールしたり。トランスジェンダーであることを公表しながら生きる芸能人や有名人たちの存在のおかげで、社会にはセクシャルマイノリティについての認知や理解が進むことでしょう。

区議会議員である上川あやさんの例では、「同性パートナーシップ」という日本では初めてとなるセクシャルマイノリティ向け制度の成立が実現できたように、実際にトランスジェンダーの方の行動が社会に変革をもたらしています。

これからもトランスジェンダーである芸能人・有名人たちの影響で、マイノリティな人々にとってより住心地の良い社会が形成されていくのかも知れません。