オカルト好きが勝手に選ぶ、日本のかわいい妖怪10選

オカルト好きが勝手に選ぶ、日本のかわいい妖怪10選

知っているようで知らない妖怪の世界。妖怪と聞くと怖いイメージがあるかもしれません。しかし、昨今ではアニメや映画などになっている可愛い妖怪たちも数多くいます。知らないだけでペットのようにかわいらしい妖怪から人懐っこい愛嬌のある妖怪まで幅広く存在しています。今回は妖怪の中でも特にかわいいと思えるものを独断と偏見でご紹介していきます。

かわいい妖怪の選出基準

かわいいという主観的な観点から妖怪たちをご紹介していきますが、わかりやすいようにかわいいと思うポイントを挙げていきます。かわいいポイントは、「見た目」「行動」の2点から、10点満点で評価し、2つを合わせた総合点をつけていきます。出ている文献や現代作品なども併せてご紹介しますので、気になったら是非見てみてください!

すねこすり

妖怪大図鑑 其の百拾六〜すねこすり | ニュース和歌山

まずご紹介するのはすねこすりです。すねこすりは岡山県に伝わる妖怪で、犬のような姿をしており雨の降る夜に夜道を歩いていると脛の間をすりぬけていくというものです。すねこすりを一躍有名にしたのは2005年の映画・妖怪大戦争ともいえるでしょう。主人公と共に行動するマスコットキャラクター的存在として非常にかわいらしいです。

<参考文献・現代作品>

柳田國男「妖怪談義」

佐藤清明「現行全国妖怪辞典」

木下浩「岡山の妖怪事典」

水木しげる「日本妖怪大全」

映画「妖怪大戦争」

映画「妖怪大戦争ガーディアン」

<可愛いポイント>

すねこすりの可愛いところは何と言ってもその見た目!犬のようなかわいらしい絵で描かれることが多く、伝承によっては猫のようだとも言われることもあります。行動も、脛の間をすりぬけていくだけという、怖さのないものとなっています。

見た目8点
行動7点
総合点15点

雨降り小僧

雨降小僧 – Wikipedia

和傘を被り、少年のような顔立ちでかかれる事の多い雨降り小僧。江戸時代に生まれたとされており、中国の雨の神である「雨師」に仕える子供だといわれています。通り雨を降らせて人をからかったり、雨が足りない時には雨を降らせたりと、名前の通りのことをする妖怪です。手塚治虫による漫画で有名になった妖怪でしょう。

<参考文献・現代作品>

鳥山石燕「今昔画図続百鬼」

草野巧・戸部民夫「日本妖怪博物館」

山田野理夫「東北怪談の旅」

鳥取県「水木しげるロード」

手塚治虫「雨ふり小僧」

<可愛いポイント>

雨降り小僧のかわいいところは愛嬌があるところです。人に対して害をなす目撃談や民話が少なく、いたずらをしたりからかったりする程度です。少年の姿で楽しそうに悪戯をする姿がかわいらしく思えます。見た目も子供らしいことが多く、かわいいです。

見た目6点
行動7点
総合点13点

豆腐小僧

豆腐小僧 – Wikipedia

こちらも江戸時代に生まれたといわれている妖怪です。豆腐小僧は笠を被り、豆腐を両手で持った姿で描かれます。時には1つ目の少年として描かれることもあります。豆腐を運び、人に勧めるなどという特徴があるため、作品で扱われるときはひょうきんな姿でかかれることが多いです。酷い悪さをするわけでもなく、人懐っこい様子があり、かわいらしい妖怪です。江戸時代にはおもちゃやすごろくに描かれていることが多いです。

<参考文献・現代作品>

恋川春町「妖怪仕内評判記」

十返舎一九「化皮太鼓伝」

水木しげる「日本妖怪大全」

京極夏彦「豆腐小僧双六道中ふりだし 本朝妖怪盛衰録」

映画「豆富小僧」

<可愛いポイント>

豆腐小僧は人懐っこく、ただ豆腐を運んでいるだけという不思議な少年です。人間が好きだという描写が多く、そういった点がかわいらしい妖怪です。作品によってはドジっ子な一面を持っていたり、ムードメーカーだったりします。

見た目6点
行動8点
総合点14点

アマビエ

アマビエ – Wikipedia

熊本県の海に出現し、疫病や豊作に関する予言をしたといわれているアマビエ。2020年の新型コロナウイルスが蔓延した際、一時的に人気の出た妖怪です。疫病を治してくれると思われがちですが、実際に解決する力はなく、予言だけする妖怪といわれています。長い髪を持ち、身体は鱗でおおわれ、くちばしのようなものがついている姿で描かれることが多いですが文献によっては猿のようなケモノといわれることもあります。

<参考文献・現代作品>

江戸時代瓦版多数

新聞「青窓紀聞」

水木しげる「日本妖怪大全」

アニメ「地獄先生ぬ〜べ〜NEO」

<可愛いポイント>

アマビエは人魚系の鱗を持つ姿でかかれることが多く、魚っぽい雰囲気のかわいさがあります。日本で爆発的に人気が出た際もかわいらしい姿で描かれていました。また、人間に害をなすこともなく、予言をしてくれる点もポイントが高いです。

見た目7点
行動6点
総合点13点

提灯お化け

提灯お化け – Wikipedia

江戸時代に生まれた妖怪で、提灯に目玉や舌が生えた形で描かれます。草双紙やおもちゃ絵、かるたに起用されることが多く、子供向けの妖怪キャラクターとして古くから愛されていました。歌舞伎「東海道四谷怪談」に出てくるお岩が幽霊として登場するシーンから着想を得て生まれたものだとされています。それ以降、浮世絵などで描かれています。

<参考文献・現代作品>

鳥山石燕「百器徒然袋」

葛飾北斎「百物語」

狩野乗信「百鬼夜行之図」

水木しげる「日本妖怪大全」

<可愛いポイント>

キャッチーな見た目と親しみやすいフォルムで妖怪といえば提灯お化けを真っ先に想像する人も多いのではないでしょうか。有名な妖怪である反面、文献はほとんど残っておらず、浮世絵などの絵に登場する妖怪です。創作物では人間と仲良くしたり、おちゃらけたりする性格で描かれることが多いです。

見た目8点
行動6点
総合点14点

猫又

猫又 – Wikipedia

読んで字のごとく、猫の妖怪です。猫又には2種類あり、山中の猫が化けるものと人家で飼われている猫が老いて化けるものに分けられます。山中の猫又は人を食べるので今回は人家で飼われている猫又の方をご紹介します。猫の姿をそのまましていることが多く、非常に愛らしい妖怪です。三味線を弾いている画図も残っています。

<参考文献・現代作品>

伊勢貞丈「安斎随筆」

鳥山石燕「画図百鬼夜行」

佐脇嵩之「百怪図巻」

京極夏彦「妖怪の宴 妖怪の匣」

<可愛いポイント>

しっぽが2股になっている以外は普通の猫と変わらず、愛らしい姿をしています。それだけではなく喋れるようになったり、三味線を弾いたりするようになるという点でも猫好きにはたまらない妖怪ではないでしょうか。

見た目10点
行動8点
総合点18点

腹の虫

九州国立博物館 | 収蔵品ギャラリー『針聞書』虫をもっと見る

最後にご紹介するのは少し珍しい妖怪たちです。戦国時代の「針聞書」という東洋医学書に登場する腹の虫も、見た目が非常にキモ可愛い!当時人間の感情や行動は蟲によってもたらされるものだと考えられており、泣き虫や弱虫といったものも医学的に研究されていました。針聞書に登場する虫たちも研究対象として描かれていますが、妖怪大辞典のようになっています。ゆるいタッチとコミカルな表情をみせる腹の虫たちに思わずニコニコしてしまうほどです。

<参考文献・現代作品>

医学書「針聞書」

<可愛いポイント>

ゆるい表情と柔らかいイラストがかわいい!人によってがキモかわいいの部類になるかもしれません。見た目に反して行動は腹痛を起こしたり病気をおこしたりします。

見た目8点
行動2点
総合点10点

妖怪たちはかわいい!

妖怪は案外身近な場所に潜んでいるものです。私たちが知らないだけで何処かにいるのかもしれません。伝承や民話を見る限り、人間に悪意を向けているものはそこまで多くなく、仲良くなれそうな気もしてきますね。かわいい妖怪たちをご紹介してきましたが、皆さんのお気に入りの子は見つかりましたか?奥深い妖怪の世界を知ってもらえたなら嬉しいです。