明石商業の強さの秘密は練習にあった!年中行うウエイトと食トレが過酷すぎる!

明石商業の強さの秘密は練習にあった!年中行うウエイトと食トレが過酷すぎる!

群雄割拠の兵庫県において近年、その頭一つ抜けた実力を誇る明石商業。

公立高校なのに何でこんな強いの?
なんて世間の高校野球ファンの人で疑問に思っている人は多いのではないでしょうか。

そう、明石商業には狭間監督主導の元、絶対強くなる徹底したチーム作りを行っているのです。

今回は、そんな明石商業の強さを支える日々の練習について詳しくお伝えしていきたいと思います。

明石商業の強さを支える練習①シーズンを通した体作り

週3日のウエイトトレーニング

明石商業の選手に注目してもらいたいのがその「体格」

レギュラー・控え・アルプスで応援している選手まで。
全員がその体つきがかなりしっかりしています。

その秘密が月・水・金曜日の週3回行われるウエイトトレーニング。

そして、そのウエイトトレーニングも非常に効率を考えられたもの。
というのも、練習前の20分ほどでだらだらと長時間やらないウエイトトレーニングなのです。

「それまでもウエイトトレーニングはやっていたけど、今思えば根拠に乏しい内容だった」
そんなことを語る狭間監督。

それまでは練習の最後にウエイトトレーニングを行っていたそうなのですが、練習でクタクタに疲れた後に集中するのは難しい、無理して追い込めばケガにもつながる。

そんなこともあり、以前は一冬に腰痛などで10人程度の故障者が出ていましたそうです。

そんな状況を打破しようと2014年秋より、篠田健治トレーナーに指導を依頼。

篠田さんは狭間監督の母校・明石南高校の元高校教諭。
明石南ではウエートリフティング部監督として全国高校総体団体優勝に輝いた実績者。

篠田さんと狭間監督の出会いは1988年に遡ります。
明石南高で保健体育の教諭をしていた時、野球部のコーチとしてやってきたのが狭間監督でした。

大学を出たばかりで、野球に全てを懸ける若者。

そんな若者に好印象を持っていたそうで狭間監督が高知の明徳義塾中・高に移った後。
そして、明石商に着任してからも気に掛けていたそうです。

そんな篠田さんが退職後の2014年秋に
「夏の100回大会で甲子園に行きたい。協力していただけませんか」
そんな依頼を狭間監督から受け、ボランティアで野球部の指導を始めました。

重視するのは故障しない体づくり。
部員はゴムチューブで関節の可動域を広げた後、30キロのバーベルを使った5種目のトレーニングで体を追い込む。

腕や太ももを鍛える動きを10回ずつ3セット。
メニューは選手やスタッフの意見を取り入れ、独自に考案した内容だといいます。

篠田さんに来ていただいてからは、故障者がまったくでなくなったと語る狭間監督。

練習前にトレーニングをおこなうことで、取り組んだ内容をそのあとの投打の動作につながるように落とし込んでいける。

そんな目から鱗の常識を覆すウエイトトレーニング。

選手たちも自分のためになることを体で実感しているからか、一切手を抜かない。
真剣にトレーニングと向き合っているようです。

そして、この「トレーニング改革は3度の甲子園出場を語る上で欠かせない要因」
そう狭間監督は語ります。

毎日の「食トレ」

明石商の選手たちは、練習と同じくらい食事にも一生懸命です。
強豪私立との体格差を埋めるため、とにかく「たくさん食べる」ことも重視しています。

明石商では、選手ごとに目標体重を設定。
5日毎に体重を測り、設定値に届いていないと階段走のペナルティーが課されるという徹底ぶり。

そして、5日ごとに行う体重測定で目標に届いていないと、階段走のペナルティーだけではなく夕食を食べる前と比較して2・5キロ増えるまで食べる。

夕食前後と朝の体重はグラフにして記録。
野手はひと月で1・5キロ、投手は1・8キロ増を目指すといいます。

これにより入学時から10kg増量は当たり前な環境にあるようです。

そして、この「食トレ」はグラウンドの外だけで行われているわけではありまん。

授業を終えた選手達がグラウンドに姿を現わすと、まず手に取るのはグローブでもバットでもボールでもなく、大きな弁当箱。

明石商業の練習は毎日この「2合飯」と呼ばれる大容量弁当をかき込むことから始まります。

明石商業が「2合飯」を始めたのは、10年秋の県大会2回戦で神港学園に0-10で完敗したのがきっかけ。

打ち込まれた当時の投手らが試合後に「パワーが足りない」
そんな反省する姿を見て、狭間善徳監督がチームに“導入”しました。

この三度の食事と夜食を合わせ計1日5食。
そんな「食トレ」も私立の強豪に匹敵するほどの体格をしている秘密でもあります。

明石商業の強さを支える練習②熾烈な競争と実践練習

熾烈な内部競争

https://mainichi.jp/koshien/articles/20190210/ddl/k28/050/191000cより引用

明石商業は兵庫県内でも有数の大所帯。
1,2年生だけで80人を数える100人超えの人数を誇ります。

そして、明石商業では、そんな大所帯の中での厳しい内部競争が行われています。

まず、全員を実力順に3班に分け、班ごとに日々の練習を実施。
(全学年がそろって部員が100人を超えるときには計4班に増加)

「1軍」とも言うべき最上位の班には、試合の際にベンチ入りできる選手たち。

さらに、班の中でもポジションごとに選手が順位付けされる。
最上位の班の選手は序列を激しく争い、その他の班の選手は、まずは一つ上の班に入ろうと努力する。

班分けは、グラウンド横に設置されたホワイトボードで毎日発表。
部員たちは自分の名前が記されたマグネットが、どの班の位置にあるかを確認してから練習に入ります。

この各班の構成を決めるのは狭間監督。
コーチの意見も聞きながら、プレー技術だけでなく、普段の練習態度も考慮して判断するといいます。

そんな日々激しい競争のなかで練習が行われる明石商業のシステム。
そんなシステムが選手の実力の底上げに繋がっています。

「確率」を重視した徹底した実践練習

以前こちらの記事でもお伝えしましたが、狭間監督の野球観を支える「確率論」
「勝つ確率を1%上げるため」に、相手のデータをしらみつぶしに研究し、分析して試合に臨む。

それが狭間監督のスタイルであり、明石商業に浸透している意識です。

そして、そんな「意識」はデータの分析だけでなく、日々の練習からも徹底されています。

 「右打者を追い込んだバッテリーがストライクからボールになる外の変化球を投げた時には三遊間寄りに守ったほうがアウトを奪える確率は高い。そんな時に三塁ライン寄りに守ってしまう選手が試合に出ていたらアウトを奪える確率が低くなってしまう。
外野手には『投球が低いと思った瞬間に前へ歩きなさい』と伝えています。頭上を越される確率よりも前方に飛ぶ確率のほうが高くなるわけですから。野球は確率のスポーツ。確率を少しでも上げる姿勢が最善の備えにつながり、勝つ確率の向上を呼び込む。そう信じています」

そんな日々の実践を想定した練習でも、全て根拠を持って行う。

「勝つ確率を1%上げるため」の実践を想定した細かな練習。
高校生からそんなプロ並みの高レベルな意識で練習を行っていることも明石商業の強さの秘密でもあります。

そして、センバツでも活躍した重宮涼主将は明石商業の練習についてこんなことを語ります。

「正直、入部した時はびっくりしました。ここまでやるのかと。勝つための執念がすごい。勝つ確率を少しでも上げるための徹底力がすごい。ひとつひとつしっかりつぶしていきますから。徹底力は明石商野球部の大きな武器だと思っています」

明石商業が弱小時代の苦労エピソードが泣ける

「お前らは特別な存在や。めちゃくちゃなことにも耐えて明石商の土台を作ってくれた」

そんなことを狭間監督が語るのは狭間監督が2006年に就任した時の卒業した1期生たち。
卒業した今でも狭間監督を慕い、グラウンドを訪れます。

今でこそ、部員100人を超え、効率的なトレーニングに、強豪校並みの体つくり。
そして、徹底した意識を持っての練習を行う明石商業。

しかし、明石商業が強くなったのはここ10年の話。

転機は2006年の野球によるまちおこしという重責を負い明石商へ着任した狭間善徳監督。

この狭間監督の赴任を機に、明石商業が変わり始めたのですが、赴任当初の部員は普通の公立校。

グラウンドで練習中にカップラーメンをすする部員、無断欠席する部員……。
など、部員の意識も低く、到底甲子園など目指せる状態ではありませんでした。

甲子園出場を意気込む狭間監督の練習はとても厳しいものでした。
1日4時間もノックが続き、耐えられずに同期たちは次々に退部していきました。

しかし、その中でも「やる気がある」と見える部員らがいました。
練習後の夜、彼らをグラウンドに集めた。「おまえら、本気で野球やりたいか」。特訓をしていたそうです。

それでも最後まで狭間監督に食らいついた清水さん。
「監督についていけば、きっと何かが変わると思った」と当時の胸の内を語る。

 清水さんにとって最も印象に残っているのは、2年夏の新チーム発足直後にあった練習試合での出来事だ。グラウンドに現れた狭間監督の顔は真っ赤に腫れていた。体調が悪いのは明らかだ。それでも氷のうを顔に当てながらベンチ前で平然と指揮を執り続けた。「目だけはギラギラしていた。野球にかける監督の熱い思いが伝わってきた」

明石商業の強さは偶然ではなく日々の練習の必然の結果だった!

明石商業と他の強豪校の違うところは「安定的に勝ち続けている」ということ。

2010年から続く夏の兵庫県大会7年連続ベスト8以上は兵庫県史上最長の記録。
3年周期で全選手が入れ替わる高校野球において、これだけ安定した成績が残せるのは驚異的な凄さです。

それは言い換えると、明石商業は偶然的な強さではなく「勝つべくして勝っている」ということです。

それは、常日頃から「確率」を重視した野球に対する考え方と「体つくりに対する意識」

いわば「型」を持って練習を行っている成果ではないかと思います。
言うならば、勝ち続けられる秘訣の「狭間メソッド」

そんな「型」を持って日々練習に望んでいることで、選手が入れ替わっても同じように選手が成長する。
そういった流れが明石商業にはできているのでしょうね。

「型」を手に入れた明石商業。
この狭間監督が明石商業で指導者としてあり続ける限り、明石商業の優位の時代は長く続くでしょうね。

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