緊急事態宣言(WHO)とは?いったいどうなるのか分かりやすくまとめてみた!

緊急事態宣言(WHO)とは?いったいどうなるのか分かりやすくまとめてみた!

中国で広がる新型コロナウイルス。

そんな最中で注目されているのがWHOによる『緊急事態宣言』

緊急事態宣言って一体なに?と思う人がほとんどだと思いますが、今回はそんな人に向けて、そもそも緊急事態宣言とは何?そして、WHOが緊急事態宣言をすると一体何がどうなるのか?

素人でも分かりやすく詳しくまとめてみました。

WHOから発令される緊急事態宣言とは?

一体どんな内容なの?

WHOによる緊急事態宣言とは、正式名称は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と呼ばれます。

国連の専門機関であるWHO(世界保健機関)憲章(条約)に基づく国際保健規則(IHR)で定められていて「原因を問わず、国際的に公衆衛生上の脅威となりうる、あらゆる健康被害事象」を対象に判断します。

この国際保健規則(IHR)とは、世界保健機関の加盟国によって世界保健総会で合意された規約であり、強制力はなく加盟国以外に影響及ぼすことはありません。

しかし、欧米加盟国では条約級扱いであり、日本も調印にあたっては外務省条約局が同席するなど、その存在価値は国際的にも非常に高いものになっています。

なので、この緊急事態宣言が発令されるという事はかなり強制力を持った宣言が発令されたという事ですね。

発令の基準は?どんな時に出されるの?

そして、それを宣言すべきかどうかはWHOの緊急委員会に諮り、勧告を受けて事務局長が宣言します。

その発令の基準は「国際的な公衆衛生上の脅威となり得る」かという大前提の基準に加えて・・・

事態が深刻か」「予測不能ないしは異常事態か」「国際的に広がる可能性があるか」「交通や貿易などを制限すべきか」

などの観点から総合的に評価します。

2005年を境にその役割を大きく広げる

元々、この緊急事態宣言の対象は従来は,コレラ,ペスト,黄熱のみを対象としていました。

しかし、近年の交通のグローバル化などヒトやモノの往来が盛んになるにつれ、加えて新興・再興感染症の登場などなど….

3疾患の感染症を対象にしただけの同規則では、国際的に懸念される健康危機問題に対応できなくなっていました。

そんな中、決定打となったのは2003年に中国で発生した新型肺炎SARS。

今回と同じコロナウイルスの新型が原因であり、航空旅客が感染地と遠く離れて発症したケースも確認されWHOは非常に悩まされることとなりました。

この、SARSの経験を踏まえてすべての公衆衛生危機に対応できるよう,IHRの対象拡大を採択し2005年に改正されました。

緊急事態宣言がWHOから発令されることでいったいどうなるの?

さて、気になるこの緊急事態宣言が発令されると一体どうなるのか?ということですが、もし発令されると以下のようになります。

加盟国の対策の強化やWHOへの感染者の義務が発生

緊急事態が宣言されると、加盟国は感染者が発生した場合に24時間以内に通告する義務を課せられ、空港・港での検疫強化しなければいけなくなります。

なので、日本がやっているような申告カードに書いてもらって自己申告。なんていった生温い対策ではダメということになります。

今回の場合、中国からの入国者に対し、健康監視を実施するなど、必要な検疫対応の強化を進めることになります。

2014年の西アフリカによるエボラ出血熱の緊急事態宣言の場合は、コンゴ民主共和国またはウガンダ共和国に渡航又は滞在者に対して日本入国後21日間、1日2回(朝・夕)の体温その他の健康状態について、検疫所への報告を求めていました。

各国から中国が支援を受けるようになる

宣言がなされれば宣言自体が支援をうながす号砲にもなり得るのです。

加盟国の政府担当部局(日本だと厚生労働省)から届けられる人的、物的支援に司令塔として連絡調整に関わります。

それは軍隊のような実力組織であったり、金銭であったりとさまざま。

中国に渡航制限がかかる

強制力はないもののWHOは出入国制限を各加盟国に勧告することになります。

これは日本に取って何を意味するかと言いますと、大義名分を得る事ができるということ。

日本側からすると、今まで中国に対して強気にでることができなかったのが、この大義名分により堂々と入国制限を行う事が可能になります。

また、仮に日本が入国制限をできなくても中国側から渡航制限を強化せざるを得ないということも意味します。

この期に及んで中国がそういった対応を取らなければ国際社会から非難の的となりますし、この緊急事態宣言は中国に強制力を持たせることが可能になります。

中国経済に大ダメージ

また、この緊急事態宣言は貿易制限につながる可能性があり、当事国の経済に打撃を及ぼしかねません。

むしろ、この部分が今まで中国が最も緊急事態宣言を恐れていた理由でしょう。

そのため、緊急事態宣言をここまで慎重に検討している大きな理由にこのような大人の事情が絡んでいるため、国への影響を考えると慎重にならざるをえないのです。

WHOの緊急事態宣言とは?いったいどうなるのかのまとめ

この緊急事態宣言が発令って聞くとかなり特別な措置ヤバいイメージを持ってしまいますが

中国の渡航に関しても今は一部の国や地域、対象者ですがそして厳しくなったり、入国の際の検疫は更に時間をかけて徹底するなどなど…

基本的には今行っている対策の強化。そういうニュアンスの方が強いです。

しかし、この措置は日本にとって相当大きな影響をもたらすでしょうし、中国にとってもしかり。

そのために、WHOは相当頭を悩ませているでしょうし、すぐには結論を出せないというのが現状。

しかし、過去の事例からも今回の事例は発令されてもおかしくないでしょうし、一刻も早い宣言を望みます。